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スポットワーカーの賃金の取り扱いと賃金デジタル払いへの対応
昨今、「スキマバイト」ともいわれている短期間・単発での働き方が話題になっています。また、2023年4月より賃金のデジタル払いが解禁されています。
スポットワーカーとは、法的な定義はなく、雇用契約と業務委託契約のいづれのケースもあります。就労者が実態として労働者といえる状態であれば雇用契約として扱い、業務委託として扱う場合でもいわゆるフリーランス法に照らした管理が重要になります。
労基法11条は、「賃金」について「賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう」と定義しています。言い換えれば、労働の対象として使用者が労働者に支払うものは「賃金」に該当し、その支払い方法や支払時期については、同法の適用を受けます。
一方、個人事業主に対して支払う業務委託料は、「労働者」に支払うものではないため、賃金には当たりません。労基法上の制約は受けないため、その支払い方法や支払時期等については、当事者間の契約内容に委ねられる部分が大きい(契約自由に原則)。例えば、給与は原則として法定通貨(日本円)で支払う必要がありますが、業務委託契約であれば電子マネーや仮想通貨による支払いも当事者間の合意があれば可能です。
労基法24条は、賃金の支払いの5原則を定めています。すなわち、事業者は「賃金」について、原則として①通貨で、②直接労働者に、③その全額を、④毎月1回以上、⑤一定の期日を定めて、支払わなければならない。
- 通貨払いの原則: 賃金のデジタル払いは、この「通貨払い」の例外と位置づけられます。
- 直接払いの原則: 使用者が労働者本人以外の者に賃金を支払うことを禁止するものです。スポットワークにおいて、仲介業者が使用者に代行して労働者に給与を支払うことが、直接払いの原則に反するものではないかとの指摘のありましたが、賃金が労働者の手に渡るまで使用者に賃金支払い義務が残る場合は、直接払いの原則に反しないと考えられています。
- 全額払いの原則: 法令に別段の定めがある場合や賃金控除協定がある場合を除き、賃金を控除して支払うことはできず、振込手数料を控除して賃金を支払うこともこの原則に違反します。
- 毎月1回以上、一定期日払いの原則: 「一定期日払いの原則」は、期日が特定されているとともに、その期日が周期的に到来するものでなければならないとされています。スポットワーカーの仲介事業者が提供するサービスとの関係では、労働者の請求があった場合に、賃金を支払期日前に支給するサービスについて、この一定期日払いの原則に違反しないかが問題となっていました。この問題につき、厚生労働省は、賃金の支払い期日を定めた上で労働省の請求があった場合には「賃金支払い期日前であっても既往の労働に対する賃金を支払うことは、これに抵触しない」との見解を示しています。
通貨払いの原則は、通貨のよる賃金支払いを義務づけており、労働者の同意を条件に、その例外を許容する形をとることで、実務上広く普及している銀行振込みすら例外扱いとしています。
近年のキャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化を背景に、この例外に、厚生労働大臣の指定を受け一定の安全要件を満たした指定資金移動業者の口座への振込み、いわゆるデジタル給与払いが追加され、2023年4月1日より解禁されています。改正後の同規則では、指定資金移動業者の口座(〇〇Pay等の電子マネー口座)への賃金支払いが、労働者の同意の下で可能になっています。(岡本)
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