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副業規制の観点から副業希望者に対し審査・許可制度を導入することは可能か
従業員から副業をすることの希望が増える中、会社は副業内容を審査の上、許可した場合のみ副業を認めることは、就業規則変更の手続きを踏めば問題はないのでしょうか。
そもそも労働者が自由に副業を行うことができるかという問題については、労働契約自体が労働者の義務として「所定の時間において労務提供すること」また、「労働者の私生活上の自由や職業選択の自由の要請もあることから、基本的に自由に行うことができる」と考えられています。
判例でも、労働契約の性質上、就業時間外は労働者の自由であるものとし、特段の事情がない限り、副業を全面禁止とする定めは合理性を欠くとされています。合理性を欠く場合は、無効な規律として取り扱われることになります。
もっとも、副業について制限を設けること自体が一律に不合理なものとして取り扱われているわけではなく、労務提供上の支障や企業秩序への影響等を考慮した上で、許可制を採ることは認められています。
政府も、平成29年の「働き方改革実行計画」の閣議決定以降、民間企業における労働者の副業を推進する方針を採っています。その一環で公表された厚生労働省による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、過去の裁判例を踏まえ、労働省による就業時間外の時間の利用が基本的に自由であることを前提に、使用者が労働者の副業・兼業を制限し得る場合として、以下を例示しています。
- 労務提供上の支障がある場合
- 業務上の秘密が漏洩する場合
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
以上を踏まえると、副業の制約を考える場合には、許可制を採用した上で、原則は労働者による副業を認めつつ、上記①~④に相当するような事情が認められる場合に限り、その制限を判断するという運用が望ましいものと考えます。
一方、副業について許可等の制約を設けた場合、どの程度の強制力を持つのでしょうか。具体的には、労働者がその制約を違反した場合に懲戒処分の対象とすることができるか、という形で問題が顕在化します。労働者に懲戒を課す場合は、客観的に合理的な理由と社会的な相当性の両方が認められなければ無効になります。
副業に制約を設けている場合であっても、個別の副業に関する労務提供上の支障や企業秩序への影響を見ることなく懲戒処分をすることは許されず、上記①~④の観点をベースに実質的な支障や影響を検討し、それが明確な根拠をもって認められる場合でなければ、懲戒処分を科すことはできないものと考えます。
全社員一律のルールを設けた上で、運用上は許可を原則とし、上記①~④の観点で問題のある副業については慎重に検討した上で、副業を不許可とすることが望ましいものと考えます。(岡本)
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