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カスタマーハラスメント対策マニュアルと改正法を踏まえたカスハラ対策

カスタマーハラスメントについては、従来、精神障害の労災認定基準や「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が公表されていましたが、この6月には、カスハラ対策を企業に義務づける改正労働総合施策推進法が成立しました。

もっとも、カスハラマニュアルに記載された対策の多くは、これまでも各企業において取り組んできた、いわゆるクレーマー対応と重なる部分があります。クレーマー対応により顧客等の言動が収まれば従業員の被害もなくなるという因果関係がありますので、クレーマー対応も大切ですが、他方で、クレーマー対応だけでは見落としがちであった従業員への対応にも今後は意識を向ける必要があります。

改正労働総合施策推進法では、カスハラを「職場において行われる顧客、取引先の相手方施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、当該労働者の就業環境を害すること」と定義されています。

 

要するに、顧客等のクレーム・言動のうち

①当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして

②当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって

③当該手段態様により労働者の就業環境が害されるもの、です。

 

対策マニュアルでは、「顧客等の内容が妥当性を欠く場合」の例として、

〇企業の提供する商品・サービスに瑕疵・過失が認められない場合

〇要求の内容が、企業の提供する商品・サービスの内容とは関係がない場合

「要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当な言動」の例として、

(要求内容の妥当性にかかわらず不相当とされる可能性が高いもの)

〇身体的な攻撃(暴行、傷害)

〇精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉棄損、侮辱、暴言)

〇威圧的な言動

〇土下座の要求

〇継続的な(繰り返される)、執拗(しつこい)な言動

〇拘束的な行動(不退去、居座り、監禁)など

(要求内容の妥当性に照らして不相当とされる場合があるもの)

〇商品交換の要求

〇金銭補償の要求などが想定されています。

 

事業主の義務の内容では「労働からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、労働者の就業環境を害する当該顧客等言動への対応の実効性を確保するために必要なその抑止のための措置を講ずること、また協力義務では「他の事業主から当該他の事業主が講ずる措置の実施に関し、必要な協力を求められた場合には、これに応ずるよう努めなければならない」としています。

カスハラは、その多くが現場において発生し、即時の対応が求められるところに対応の難しさがあります。

事業主に求められるのは、体制の整備と他社からの協力要請に対する対応です。会社には組織としてカスハラにどのように対応するかの制度構築(社内ルールの整備)が求められますので、対応する制度が整備されていないことが、安全配慮義務違反の判定に影響を与えるものと考えられます。(岡本)

 

 

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