最新情報

TEL お問い合わせ ご契約内容・
報酬基準

カテゴリー:

労務

定年後再雇用でパーフォーマンスや健康状態の悪化を理由に契約期間満了での契約終了ができるか

高年齢者雇用安定法は、65歳までの雇用確保が義務付けられていることから、定年後再雇用者には、「65歳に達するまでは契約が更新される」との合理的な期待があると解されています。この期待があるため、契約期間満了をもって一方的に雇用を終了させる「雇止め」は、労働契約法第19条の「雇止め法理」によって厳しく制限されます。

つまり、65歳未満の再雇用者に対する雇止めが有効かどうかは、実質的には正社員の「解雇」と同じ基準で判断されます。したがって、雇止めが有効と認められるためには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められることが必要になります。

しかし、一方では、高年齢になれば何らかの持病を抱えることは当然予測され、企業の安全配慮義務の観点からも、会社は労働者の健康状態に応じて継続雇用の可能性を最大限模索する責任がありますの、プロセスを尽くした上で、なお、本人がいかなる業務も遂行できないであると客観的に判断される場合の最終手段として雇止めが認められることになります。

特に認知症等が疑われる場合でも、上司や同僚が「認知症」と決めつけることは、重大なハラスメントや名誉棄損リスクが伴います。対応の出発点は、「認知症の疑い」ではなく、「客観的な業務上の問題」としてとらえる必要があります。

業務指導を重ねても改善が見られない場合は、「何か健康上の理由があるのではないかと心配している」というスタンスで、本人のために専門医への相談を丁寧に促し、受診の勧奨をします。しかし、これに本人が受診を拒否する場合は、就業規則に規定があれば規定に基づき、なくとも会社の安全配慮義務の履行のため正式に受診命令を出します。命令ですから正当な理由なく拒否し続けることは、業務命令違反として懲戒処分の対象になりえます。

ここで、疾病と診断された場合でも、次の更新までは休職させるか、最低でも特別の療養期間を認めることが必要です。これらのプロセスを尽くしてもなお就労が困難な場合に初めて雇止めが検討可能になります。

また、疾病でないと診断された場合もしくは受診を拒否し続ける場合は、対応は純粋な能力不足や業務命令違反の問題になりますので、引き続き客観的な業務上の問題に基づき、通常のパーフォーマンス改善プロセスや懲戒手続きを進めることになります。

すべてのプロセスは記録に残すことが必要ですが、特に検診結果の取り扱いには、個人情報やプライバシーの配慮が必要です。(岡本)

 

 

\大阪梅田で社会保険労務士をお探しの方はお気軽にどうぞ/
――――――――――――――――
■ 岡本社会保険労務士事務所 ■
大阪市北区・曽根崎・新地の社労士・社労士事務所
――――――――――――――――

 

ページトップへ