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直行直帰が多い営業社員に事業場外労働のみなし労働時間制は適用できるのか
事業場外労働のみなし労働時間制とは、労働者が事業場外で労働し、労働時間を算定し難い場合には、所定労働時間労働したとみなされる制度です。
従来、事業場外労働については、裁判所がなかなか認められない傾向があり、事業場外労働の適用要件として「労働時間を把握しがたい」というのがあり、携帯電話があるから労働時間を把握できるとか、予定表を会社に提出しているから労働時間を把握できる等事業場外労働を否定する裁判例がありました。しかし、令和6年の協同組合グローブ事件の最高裁判決で流れが決定的に変わりました。
これは、外国人の技能実習に係る監理団体に雇用されている指導員の事案です。自らが担当する実習実施者に対して月2回以上の訪問指導を行うほか、来日時等の送迎、日常の生活指導や急なトラブルの際の通訳等が業務内容であり、事業場外労働といえるか否かが問題になりました。
裁判所の判断は
①労働者が実習実施者等の訪問の予約を行うなどして自ら具体的なスケジュールを管理していた。
②携帯電話を貸与されていたが、随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることはなかった
③所定の休憩時間とは異なる時間に休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていた
④業務日報はあり、記載内容について実習実施者等への確認が可能ではあるが、実習実施者等に確認するという方法は現実的でない
として、事業場外みなしが認められました。
業務日報があって、どの時間に何をしていたのかがたとえ細かく書いてあったとしても、それが正しいのか否かをいちいち顧客に確認を入れるわけにもいかない、のであれば事業場外みなしは否定されないということになります。
この最高裁を前提にすれば、外勤のスケジュールは従業員が自分で決めている、基本的に直行直帰である、というなら、詳細な業務日報があっても、事業場外労働は認めらます。外勤社員が今どこにいるかが把握できるGPS管理されている場合はどうでしょうか。GPS管理されているだけなら、GPSは、ある時間ある場所にいた、ということがはっきりするだけで、その場所で具体的にどのような業務に従事していたのかまではわかりません。
逆に、会社や上司が営業社員のスケジュールを決めて、営業社員はその通りに動いているとか、携帯電話で上司から指示を随時受けながら外勤しているとか、直行直帰が基本的に許されていないということであれば、事業場外労働は否定されることになります。(岡本)
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