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採用選考時に健康状態について調査することは許されるのか

個人情報保護法の「要配慮個人情報」とは、「本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないように、その取扱いに特に配慮を要する個人情報」を指します。また、身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があることも要配慮個人情報に該当します。

個人情報取扱事業者は、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得できません。特定の疾病に罹患しているかなどの健康情報は、上記「病歴」や「心身の機能の障害」に該当しますので、要配慮個人情報に該当します。しかし、健康情報が要配慮個人情報に該当するとしても、裏を返せば同意を得れば取得することはできるため、要配慮個人情報だからという理由で、採用にあたって取得できないということにはなりません。

会社は、誰を採用するかという自由が認められていますので、採否の判断資料を得るために労働者の能力や適性について調査を行うことも認められています。一方で、個人のプライバシー保護の観点からすると、何を聞いてもよいわけではありません。あくまでも、会社は社員を雇うために調査するわけですから、予定する仕事の内容に応じて必要な調査しか行うことはできません。

B型肝炎ウイルス、HIVウイルスキャリアとは異なり、精神疾患の状態によっては、遅刻、欠勤、長期の休職に至る場合が多くあります。少なくとも、いわゆる正社員として長期の雇用を予定して採用する場合は、精神疾患の有無、通院歴について調査することは可能であるといえます。もっとも、精神疾患の通院歴は、人に知られたくない個人情報です。また10年以上前の精神疾患の通院歴について聞く必要はなく、最近1~2年前から現在までの通院歴や精神疾患の状態を聞けば、現在労務の提供ができるかどうか判断することは可能です。したがって、精神疾患の有無、通院歴については、過去1~2年前から現在までの通院歴や精神疾患の状態を調査すれば足りることになります。

一般に、経歴詐称は懲戒解雇事由となり得ます。では、健康情報を偽ることは経歴詐称に当たり、解雇をすることは可能でしょうか。採用時、健康情報を偽ることは経歴詐称事由となり懲戒解雇事由となり得ます。もっとも、健康情報を偽ることすべて懲戒解雇事由となるわけではなく、採用にあたり、労務の提供ができるかどうかを判断するうえで重要な健康情報を偽っていた場合にのみ懲戒解雇事由になり得ます。

公務員の採用試験で、健康調査票の「引きつけの発作を起こしたことがありますか」の質問項目に、「いいえ」との回答を記入した応募者が、その後、勤務時間中引きつけを起こしたことにより、分限免職された事案で、当該職員の職務が事務職であったため、てんかん発作の経験があるか否かが、労務の提供ができるかどうかを判断するうえで重要な健康情報ではないとして、解雇の執行停止が認められた裁判例もあります。(岡本)

 

 

 

 

 

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