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労働条件の不利益変更を行う際の個別合意を得る場合の注意点

労働契約法8条は「労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる」とありますが、不利益変更のこの「合意」には、高いレベルのものが求められます。労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在することが必要です。逆にいえば、双方が真に合意すれば、変更内容の合理性は問題にならないことになります(公序良俗違反の問題などは残りますが)。

合意を取得する方法にあたっては、従業員に事前の情報提供や説明を行ったうえで、書面による同意書を取得する必要があります。また、明示の合意であっても、労働条件の変更内容を知らされずに同意書のみを提出するような場合には、合意は、真意に基づくものではないとしてその効力を否定される可能性があります。

賃金や退職金のような重要な権利、労働条件を不利益に変更することを受け入れる旨の個別合意の場面についての判断は、福利厚生など賃金に比べると重要度が相対的に低い労働条件の変更の場面においては、妥当しないと考えられます。

そのため、労働条件の変更を行う場合は、賃金や退職金などの重要な権利・労働条件を変更するものか、それとも賃金等と比較すると重要度の低いものを変更するものかを明確にしたうえで、前者の場合は、各労働者がどのような不利益を被るのかを、具体的な数字などを示して説明することが求められます。このような情報提供や説明なしに同意書への署名・押印を得てしまうと、有効な個別合意があったとは判断されないことになります。

情報提供の方法は、説明会の開催や個別面談に加え、労働条件の変更内容を書面で通知するという方法が考えられます。具体的には、変更前後の賃金額を書面に記載するなどして、変更前後の状況を具体的に比較できるように文書で説明し、当該書面に署名をもらうといった方法が考えられます。

説明を複数回行うことは、適切に情報提供を行ったことを基礎づける事情になり得ますが、前後の説明において齟齬や矛盾が生じないように留意する必要がありますし、なにより労働者の誤解がないよう努めることが重要です。同意書は、適切な情報提供を踏まえたうえで労働者が署名する位置づけにあるため、同意書の取得は、必ず情報提供や説明を尽くした後に行う必要があります。(岡本)

 

 

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