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職場における熱中症予防対策義務化への実務対応

事業者は6月1日より、熱中症による健康障害の疑いがある者の早期発見や重篤化を防ぐために必要な措置を講じることが罰則付きで義務付けられることとなりました。

今回の改正では、あらかじめ、熱中症のおそれがある作業に従事する者が熱中症の自覚症状を有する場合や、当該作業に従事する者に熱中症の疑いがあることを他の者が発見した場合に、その旨報告することができるように体制を整備することが求められています。

具体的には、報告する連絡先(電話番号、メールアドレス等)や担当者を決めて置く必要があります。すでに多くの企業では、不測の事態に備えて緊急連絡網や体制が整備されていることと思われ、これを活用して熱中症の報告体制として整備することが考えられます。

また、熱中症の疑いが生じた場合、医療機関への搬送が必要となることも想定されるため、あらかじめ近くの病院や診療所の所在地および連絡先を把握し、報告先を定めておくことが望ましいといえます。

今回の改正では、あらかじめ、作業場ごとに、熱中症のおそれがある作業から離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察または処置を受けさせることなど熱中症の症状悪化を防止するために必要な措置の実施手順を作成することが求められています。すなわち、熱中症のおそれのある者を把握した場合に、現場(作業場)において迅速かつ的確な判断ができるように応急措置の手順をあらかじめ定めておく必要があります。

また、この本措置義務は実施手順を作成することにとどまり、当該手順に基づく措置を講じることまで義務付けているわけではありませんが、厚生労働省では、熱中症のおそれのある者を発見した場合には、実施手順を踏まえ適切に対処するよう求めています。

次に、①報告体制を整備し、②実施手順を作成した場合、その内容を熱中症のおそれのある作業に従事する者(関係者)に周知する必要があります。周知方法については、法令上口頭でも差し支えありませんが、作業場や休憩所に掲示するなどして、関係者が閲覧できるように見える化して周知することが望ましいといえます。

今回の改正では、「WBGT(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えて」と客観的な基準が具体的に示されており、これは環境省や気象庁で公表されている情報から容易に把握することできます。また、①報告体制の整備、②実施手順の作成、③①および②の関係者への周知については、事業者による実施の有無を明確に判断することができます。

そのため、熱中症重篤事案が発生した場合においては、①~③の措置が履行されていないときは、刑事事件に発展するリスクが比較的高いと考えられます。(岡本)

 

 

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