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採用内定者から就業規則の閲覧希望があった場合、会社は拒否できるか
労働基準法は、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない」と規定しています。したがって、採用内定の時点で、労働契約が成立している場合には、労働条件を明示する必要があります。
明示すべき内容は、労基法施行規則に列挙されているものです。これらの明示事項の多くは就業規則の必要記載事項と重なっていますが、労働条件の明示とは個々の労働者の労働条件を明らかにするものであるのに対して、就業規則は個々の事業場の労働条件に関する制度を明らかにすべきものです。したがって、就業規則を交付しなくとも、個々の労働者の労働条件を明示した書面を交付することで、使用者は労働条件の明示義務を果たすことがっできます。
労基法は、使用者に対し、就業規則の周知方法を以下の通り定めて義務付けています。
- 常時各作業場の見やすい場所への掲示・備え付け
- 労働者への書面交付
- 記録した電磁的記録媒体等を労働者が常時確認できる機器の設置
ただし、この規定は適正な労務管理の実施を確保する趣旨であり、周知方法を定めたもので、使用者に労働者への就業規則の閲覧を義務づける規定ではありません。
内定により労働契約が成立したとされる場合には、内定者に労働条件を明示することは必要です。一方で、就業規則については、内定者は、いまだ事業所での就労を開始していない段階です。したがって、内定者に就業規則の適用はないと考えられ、就業規則を閲覧させる必要もありません。
内定辞退を防止する観点からは、開示されても差し支えない部分のみ送付するか、内定者が確認したい部分のみ別途回答書を作成し、送付することで対応可能です。(岡本)
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