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本人の承諾なしに過去の勤務先へのバックグラウンドチェックを行うことは可能か

企業には、契約締結の自由として採用の自由が認められています。

三菱樹脂事件では、「企業者は、かような経済活動の一環としてする契約締結の自由を有し、自己の営業のために労働者を雇用するにあたり、いかなる者を雇い入れるか、いかなる条件でこれを雇うかについて、法律その他による特別の制限がない限り、原則として自由にこれを決定することができる。」と判示しているとおりです。

また、「企業者が、労働者の採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者からこれに関連する事項についての申告を求めることも、これを法律上禁止された違法行為とすべき理由はない」として企業の調査の自由も認められています。

また、裁判例において、「企業には採用の自由として調査の自由が認められている半面、労働者については信義則上、真実告知義務を負うと考えられています。

もっとも、応募者の説明をうのみにすることはできず、応募者の説明が真実であることを確認するために、バックグラウンドチェック(信用調査)を行うことがあります。この調査の実施は調査会社に委託することが多いですが、応募者の前職の企業から応募者についての回答を受けることは、個人情報の第三者提供に該当するため、個人情報保護法上、個人データの「第三者提供」になるため、応募者から前職調査への協力の同意を得ることが必要で、応募者に調査の目的や対象などの十分な説明も欠かせません。

実務的には、本人からバックグラウンドチェックを行うことの同意を取得したうえで、履歴書や職務経歴書に記載された過去の勤務先に対し、紹介を行うことになります。

バックグラウンドチェックの結果、採用において重視した項目について詐称がある場合には、内定取消や解雇の有効性は肯定されます。しかし、採用上重視したと評価できない軽微な事項の相違や不告知等があったとしても、重要な経歴の詐称と評価されず、内定取消や解雇の有効性は否定されることになります。

調査の結果、判明した事実に照らして、能力や資質に懸念が生じた場合や、企業秩序違反のおそれがある場合、または、応募者がバックグラウンドチェックに応じず、調査が実行できない場合には、採用に当たって応募者に関する「労働力の評価に直接関わる事項や企業秩序の維持に関係する事項」の懸念が払拭できないこととなるため、不採用とすることはやむを得ないところです。上記のとおり企業には契約締結の自由としての採用の自由があるため雇用契約の締結を強制されるものではなく不採用も許容されるものと考えます。このような場合に、企業が不採用をしたとしても不法行為によって応募者に対して損害賠償義務を負ったりするようなことも想定されませんし、雇用契約上の責任を負うこともありません。(岡本)

 

 

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